毎年秋になる頃、娘は一年中で一番ピアノを頑張る時期に入ります。
夏は個人のピアノ発表会に向けて、冬はアンサンブル発表会に向けて、テクニックを磨くのにも一番いい時期だというこの秋には、小学校の生活発表があります。
例年学年ごとに行われるオーディションで選ばれた児童が、学年のフィナーレを飾る合唱の伴奏者になれるのですが、娘は夏のピアノ発表会で演奏した曲をそのままオーディションに持って行けるので毎年追い風が吹いている状態でオーディションを迎えられます。
今年も追い風の中、演奏者に選出して頂いてゲットしてきた楽譜は合唱曲『マイバラード』
児童数が少ないため2部合唱で歌うようですが、上手くハーモニーできたら素晴らしいフィナーレになるな~~
嬉しそうに楽譜を見始めた娘ですが、なぜか無言……
「…この曲、私の弾けないやつだ…」
え…発表会でもちゃんと弾けたんだから、伴奏の曲なら弾けるよ!大丈夫!
「弾けるようにはなると思うけど…弾きこなせないよ。指届かないから」
娘は3月生まれで身長も小さく、手も小さければ指も短いちんちくりんな手をしております。
夏の発表会でもオクターブが届かないため曲目選びにいつも苦労するんです。
今夏、本人はモーツアルトの「きらきら変奏曲」「トルコ行進曲」を弾きたいと言っていたのですが、
曲を弾けるようにアレンジすることは可能だけど妥協はしたくない
という結論に至り、ショパンの子犬のワルツになりました。
きらきら変奏曲を挑戦した後、子犬のワルツに挑戦するという方もいるようですが、きらきら変奏曲、トルコ行進曲、子犬のワルツの中で指が届く曲目が子犬のワルツのみだった…。
今年は本人が弾きたいと思う曲目を弾かせたいという先生の好意に甘えてしまったので、来年からは先生に曲目を選んでもらおう!
って話がずれてしまいましたが…
マイバラードの伴奏はオクターブが続くため、今まで難なく伴奏をこなしてきた娘でしたが、今年はちょっと苦労しそうです…。
よりによって3連休を挟んだので、レッスンがお休みで先生に指導を頼めなかった。
一日目、半日使って、右手、左手の練習を始めるものの、左手のベースが弾けない。
二日目、両手で併せてみる。拍子に合わせていないため、小節ごとに微妙な間隔があくため違和感があるもののそれなりの形にはなっている模様…
二日目の午後になると、ある程度弾けるようになりました。届かないなりにもきちんと弾けているのでどうやって指運びしてるのかな~と見に行ってみたら…鍵盤に指をひっかけてオクターブを出していた…
え~~~~~、それで音が出せるんだ
ちゃんとできてるじゃん。二日でここまで持ってこれたのは凄いよ!
これ弾けてないの?
「弾けてないよ。指が届かないから隣の鍵盤さわっちゃって、いらない音がでちゃうから、きれいじゃない」
…もはや私では、娘のその感覚が理解できない。
ピアノ発表会の練習をさぼったりするときは、時々声を荒げて
「御月謝分の練習はしてくれないと困るよ!」
と言って注意をすることが多々ありますが、
今回は弱音すら吐かず、ただただピアノに向かいひたすら弾きづづける事を3日間続けていました。
必死に手を広げながら弾き続けたので、小指の先は赤く腫れて、今にも水ぶくれが出来そうな状態でした。
私自身、ピアノにさわることすら出来ない人ですから、
小さな手でいろいろな音色を繰り出す娘の手は
紛れもなく「魔法の手」
発表会が終わるたび、次の目標はこうしよう!とちょっと厳しいことすら言ったりするのですが、楽譜をもらって符読みから演奏まで自分だけで考え、苦手を少しでも克服しようとする娘の姿に、「成長しているんだな」と身を持って感じることができました。
個人のピアノ発表会なら、練習をさぼったらその分自分に返ってくるから、自己責任で心の整理がつくけれど、学校での伴奏となると学年全体の仕上がりに関わる。
それを言われなくても行動に移して実行することができる娘は…誰に似たんだろう…。おそらく私ではないと思われる…。ちょっと神経質で、負けず嫌いな性格ですが、今回はその性格がいい作用をおこしたようです。
体は小さいし、体も小柄だけど、ピアノを弾いている背中は本当に、本当に大きく見えたのでした